『「昔はよかった」病』を読む
本屋でタイトルに興味を持ったため、『「昔はよかった」病』という本を買いました。
熱中症やクレームなど、今問題になっていることは昔も問題になっている、むしろ昔のほうが酷い、ということをデータや当時の新聞などを引用して、軽い口調で毒舌タップリに解説している本でした。とくに終盤は昔を礼賛する老人叩きのような内容になっていたため、電車で読んでいると微妙に気不味いことに……(自分の横に老人が座っていたので)。
「昔はよかった」と自分もそろそろ言い出してくる年になってきたと感じる日々ですが、データや資料を持ち出されて「ほら見ろ、昔のほうが酷いぞ!!」と言われると「ぐぬぬ……」と口籠ってしまうところ。
でもねー、年を取ると保守的になるというか、新しいことを受け入れにくくなるから過去を礼賛し始めるというか。「昔はよかった」と思うのはある種、人間の業だと思うんですよね。
『パワプロクンポケット8』にて、主人公の相方である湯田というキャラが「…人は忘れるから、生きていられるんでやんすよ。苦しいことや悲しいことを全部覚えてたんじゃ、つらくて仕方ないでやんすよ。」という名言を言っていましたが*1、昔の嫌なことというのは都合良く忘れる、もしくは嫌なことを「良い思い出だった」とプラス思考へ変換するのが人間ですから、「昔はよかった」と押し付けるのは問題があるとは思うものの、「昔はよかった」思考に陥るのはある程度は仕方がない。これについて自分はそう主張したいです。
あと、昔は分野によっては規制がなく「おおらか」だったってのはあります。
ただ、コレも曲者で、最近だとユッケや生レバーの件みたいに規制がないのは本当にいいことなのか?とも言い切れないことがあるわけで。それと、少なくとも自分が子供の頃(90年代前半)は、隣の家が留守だったら、宅配便を預かるってのは割とよくある話でしたが、今はそんなことはもちろんありません。これも色々問題になったから無くなったんでしょうね*2。
規制といえば、テレビは自主規制で詰まらなくなった、と自分も含めて多くの人が思っていることだと思いますが、実際はどうなんでしょうか……。
何だかんだでトラブルが発生したらそれ相応の対応して再発防止に務めるわけですから、著者の言うとおり「いまのほうがずっといい。あるいはむかしもいまもたいして変わらない。それが歴史の真実です」ってのは、頭では否定したくても、理屈で言えばその通りなんだろうなぁとは思ったわけです。